ファクタリングの手数料の相場は?手数料が決まる要因と対策
売掛金が入金されるまでの支払いサイトを早めるための方法として有効な「ファクタリング」ですが、事業者のみなさんは「ファクタリングの手数料の相場はどのくらいなのか」、「どのようにファクタリングの手数料が決められているのか」をご存知でしょうか。
本記事では、「ファクタリングの手数料相場」や「ファクタリングの手数料が決まる5つの要因」、「手数料以外にかかる費用」、「ファクタリングの手数料を抑えるための対策」などについて、詳しく解説を進めていきます。
資金繰りに困っている事業者の方は、本記事を参考にしながら、ファクタリングの手数料を抑え、資金調達を成功させてください。
この記事で分かること
ファクタリングの手数料相場は?
まず、ファクタリングの仕組みについて簡単に紹介します。
ファクタリングとは売掛債権の売却のこと
ファクタリングとは、商品やサービス提供後〜請求代金が入金されるまでの期間に「売掛債権をファクタリング会社へ売却・譲渡することで資金調達する方法」のことです。
ファクタリングは資金繰りに困る事業者が便利に使える
会社間の取引は、信用取引がほとんどです。
信用取引では、商品やサービスの提供〜入金があるまでの期間は入金待ちの状態となるため、一時的に資金不足になる事業者も少なくありません。しかし、ファクタリングを利用すれば、支払いサイトを早められる(=早期の資金調達を期待できる)ため、資金不足に陥った事業のつなぎ資金として非常に便利に利用できます。
ファクタリングは、資金繰りの困難を解消するための手段として多くの事業者に利用されています。
ファクタリング手数料相場はどのくらい?
このファクタリング手数料の相場ですが、
売掛債権の金額の「1%〜20%」
ほどとなっています。
様々な要因によってファクタリングの手数料が決められるのですが、これらの要因については後の項目で詳しく解説します。
ファクタリングにより入金されるお金の計算方法
例えば、100万円の売掛債権をファクタリング会社へ売却する場合、手数料が10%の場合は、
100万円 − 100万円 × 10%(手数料) = 90万円
となります。
また、消費税の扱いですが、売掛債権の売却価格(対価)に対して課税されるため、この場合は「90万円」が消費税の課税対象となります。
ファクタリングの手数料が決まる5つの要因
続いて、実際にファクタリングの手数料が決まる5つの要因について解説していきます。
- 売掛先企業の信用度
- 2社間ファクタリングまたは3社間ファクタリング
- ファクタリングの利用履歴があるか
- 売掛債権の金額
- 利用者の性格や人柄
売掛先企業の信用度
売掛先企業の信用度は、ファクタリング手数料が決められる大きな要因です。
ファクタリング会社は、利用者の売掛先企業の売掛債権を買い取ります。また、ファクタリング会社は、この売掛先からの入金を待ちますが、売掛先企業が倒産した場合、ファクタリング会社は売掛金が回収できず、損失となります。
売掛金未回収のリスクが低い場合は手数料も低くなる
損失を減らすため、ファクタリング会社は、ファクタリングの申し込みがあった後、売掛先企業の信用度を調査します。
売掛先企業が優良企業である(=確実に支払いしてくれる)と判断できる場合は、売掛債権未回収のリスクが低いことから、手数料を低く設定してもらえる場合が多いです。
反対に、経営が悪化していると判断される企業の売掛債権の買取を行う場合、ファクタリング会社は、売掛金未回収のリスクを減らすため、手数料を高く設定するケースが多いです。
倒産寸前の企業の売掛債権は売却できない
売掛先の企業が倒産寸前という場合は、売掛金を回収できない可能性が高いため、ファクタリング会社は売掛債権の買取をしてくれないでしょう。
2社間ファクタリングまたは3社間ファクタリング
また、ファクタリングの種類によっても「ファクタリングの手数料」が異なります。この場合も、先ほどの「売掛先企業の信用度」と同じように、リスクの高低によって手数料が比例します。
3社間ファクタリングの手数料は1%〜5%程度
3社間ファクタリングとは、「利用者の会社」、「ファクタリング会社」、「売掛先の会社」の3社間で手続きが行われます。
3社間ファクタリング利用時には売掛先の会社は、ファクタリング会社へ直接売掛金を支払います。この場合、ファクタリング会社は売掛金未回収のリスクが低くなるため、手数料は低く設定される(1%〜5%程度)場合が多いです。
なお、3社間ファクタリングは取引先にファクタリングの利用(=債権譲渡)を伝えなければならないため、今後の取引に支障が出る恐れがある点に注意してください。
2社間ファクタリングの手数料は10%〜20%ほど
2社間ファクタリングの場合は、「利用者の会社」と「ファクタリング会社」間での取引となります。ファクタリングで資金調達した後は、売掛金が入金された後、利用者がファクタリング会社へ売掛金を支払わなければなりません。
また、売掛金が入金された後、利用者が売掛金を別の支払いに利用するようなリスク(=ファクタリング会社は売掛金が未回収となるリスク)があるため、手数料はやや高く(10%〜20%ほどに)設定されている場合が多いです。
ファクタリングの利用履歴があるか
過去に同じファクタリング会社を利用したことがあるという事業者は、手数料を下げてもらえる可能性があります。
過去、売掛金の回収に問題がなかった場合、利用者の信用度が高まり、売掛金未回収のリスクが低いと判断してもらえるためです。
なお、初めてファクタリング会社を利用するという場合は、ファクタリング会社が設定している上限利率に近い手数料が設定される場合が多い点に注意しておきましょう。
売掛債権の金額
売掛債権の金額が大きいほど、ファクタリングの手数料を低くしてもらえるケースが多いです。
例えば、ファクタリングの手数料10%時の、100万円と1,000万円の売掛債権の手数料について確認しましょう。
売掛債権が100万円の場合は「10万円」の手数料
売掛債権が1,000万円の場合は「100万円」の手数料
となり、上のケースでは手数料の利率は同じですが、手数料の金額に10倍の差額があります。
ファクタリング会社は一定額以上の利益を確保できる場合、手数料の利率を下げてもらえることもあります。
利用者の性格や人柄
また、ファクタリング会社は、利用者、申込者の性格や人柄についても審査対象として、手数料の利率に反映させている場合があります。
ファクタリング会社の窓口で対面契約する場合、ファクタリング会社の担当者は、事業者が真剣に事業に取り組んでいるのか等をチェックし、事業・事業者の信用が高まれば、手数料の利率を優遇してもらえるケースもあるのです。
ファクタリングの手数料以外にかかる費用の相場
手数料だけの費用の支払いでOKなファクタリング会社もあるのですが、ファクタリング会社によっては、手数料の他に以下のような費用が発生する場合もあるので注意してください。
- 着手金
- 登記費用
- 印紙税
着手金
ほとんどのファクタリング会社では着手金は不要(無料)ですが、一部のファクタリング会社はファクタリングの依頼時の着手金として1万円〜3万円ほどかかる場合があります。
登記費用
2社間ファクタリングの場合、債権譲渡登記が必要となる場合があります。債権譲渡登記の登録免許税は7,500円、債権譲渡登記の登録手続きをする司法書士への報酬は5万円ほどが相場となっています。
印紙税
また、法律上、契約書には印紙税が必要です。ファクタリングの場合、ファクタリング会社と売掛債権譲渡の契約書を交わすため、その際に印紙税がかかります。
印紙税は契約金額により、以下のようになっています。
契約金額 | 印紙税 |
---|---|
5万円未満 | 非課税 |
5万円以上100万円以下 | 200円 |
100万円を超え200万円以下 | 400円 |
200万円を超え300万円以下 | 600円 |
300万円を超え500万円以下 | 1千円 |
500万円を超え1千万円以下 | 2千円 |
1千万円を超え2千万円以下 | 4千円 |
2千万円を超え3千万円以下 | 6千円 |
3千万円を超え5千万円以下 | 1万円 |
5千万円を超え1億円以下 | 2万円 |
1億円を超え2億円以下 | 4万円 |
2億円を超え3億円以下 | 6万円 |
3億円を超え5億円以下 | 10万円 |
5億円を超え10億円以下 | 15万円 |
10億円を超えるもの | 20万円 |
受取金額の記載のないもの | 200円 |
参考リンク:印紙税額の一覧表|国税庁
印紙税を負担してくれるファクタリング会社もありますが、その場合の印紙税の費用はファクタリングの手数料に含まれていると考えられます。
相場より低く利用したい! ファクタリングの手数料・諸経費を抑えるための対策
さいごに、ファクタリングの手数料を少しでも抑える=高く買い取ってもらうための対策について紹介します。
- 諸経費がファクタリング手数料に含まれるファクタリング会社を利用する
- 債権譲渡登記が不要なファクタリング会社を選ぶ
諸経費がファクタリング手数料に含まれるファクタリング会社を利用する
ファクタリング会社により、ファクタリングの手数料の他に、諸経費がかかる場合があります。少しでもファクタリングにかかる費用を減らすためには、諸経費がかからないファクタリング会社を利用するようにしましょう。
インターネットだけで申し込み〜入金まで完結できるファクタリング会社では、やりとりにかかる人的コストを圧縮できるため、「諸経費不要」でファクタリングサービスを提供しているケースが多いです。
債権譲渡登記が不要なファクタリング会社を選ぶ
先ほどの項目で解説したように、2社間ファクタリング時に債権譲渡登記が必要な場合、債権譲渡登記に5万円ほどの費用がかかります。
しかし、債権譲渡登記が不要で2社間ファクタリングができるファクタリング会社もあるため、手数料を抑えるためには、できれば債権譲渡登記が不要なファクタリング会社を利用する(※)ようにしましょう。
※債権譲渡登記が不要となる場合、「ファクタリング会社は、利用者から二重に債権譲渡されるリスクがある」ため、ファクタリング時の審査難易度がやや高まる傾向がある点に注意してください。
ファクタリングの手数料は、売掛金未回収のリスクの大小によって決まる
本記事では、「ファクタリングの手数料相場」や「ファクタリングの手数料が決まる5つの要因」、「手数料以外にかかる費用」、「ファクタリングの手数料を抑えるための対策」などについて解説を進めてきました。
ファクタリングの費用を抑えたい事業者は諸経費がかからないファクタリング会社を利用する
- ファクタリングとは売掛債権の譲渡・売却すること
- ファクタリングの手数料の相場は1%〜20%ほど
- ファクタリング手数料は売掛先企業の信用度が高いほど低利率になる
- 2社間ファクタリングより3社間ファクタリングの方が手数料の利率が低い
- ファクタリングを利用したことがある場合は、手数料を下げてもらえるケースもある
- 利用者の性格・人柄により手数料が低く設定される場合もある
- ファクタリングの着手金の相場は0円〜3万円ほど
- 債権譲渡登記にかかる費用の目安は0円〜5万円ほど
- ファクタリングの経費を下げたいなら手数料だけが必要なファクタリング会社を使う
- 債権譲渡登記が不要なファクタリングの方が手数料が低い傾向あり
ファクタリングとは、未回収の売掛債権をファクタリング会社に譲渡・売却し、資金を調達する方法です。また、ファクタリングの手数料は1%〜20%ほどとなっていて、様々な要因によって手数料が決められています。
なお、ファクタリングの手数料が決まる最も大きな要因は「売掛先企業の信用度」です。売掛先企業の経営が安定している企業の場合、売掛金未回収のリスクが無いため、手数料の利率を下げて売掛債権を買い取ってもらえる場合が多いのです。
また、「ファクタリングの諸経費、債権譲渡登記が不要のファクタリング会社」を選ぶと、ファクタリングにかかる経費を削減できるでしょう。
ファクタリングを検討している事業者の方は、ぜひ本記事を参考にしながら、手数料の低いファクタリング会社で資金調達に成功させてみましょう。