ファクタリング利用時の3つのトラブルと悪徳業者を見分ける方法
ファクタリングとは、入金待ちの売掛債権をファクタリング会社へ売却することで、売掛債権を早期に現金化して資金調達できる金融サービスのことです。
しかし、近年ではファクタリング利用者やファクタリング会社の増加に伴い、ファクタリング利用時のトラブルも増えてきています。
そこで本記事では、
「ファクタリング時に起こりうる3つのトラブル」
「悪徳なファクタリング会社の見分け方」
「ファクタリング会社に騙されてトラブルが起きた後はどうすれば良いのか」
「利用者側が起こしてしまうファクタリングのトラブル」
などについて、詳しく解説を進めていきます。
この記事で分かること
ファクタリング利用時に起こりうる3つのトラブル
まず、ファクタリング利用時に起こりうる3つのトラブルから紹介していきます。
- 事前に確認していた内容と契約内容が異なっていた
- ファクタリングの手数料が法外に高い
- 契約書の発行がなかった
事前に確認していた内容と契約内容が異なっていた
ファクタリング会社の中には、ファクタリング契約時の面談での内容と「異なる契約内容」で契約書を作成し、利用者を騙す悪徳なファクタリング会社も存在しています。
聞いていた手数料と実際の手数料が異なることも…
契約内容に相違がある場合、「事前確認していた時のファクタリングの手数料は10%だったけれど、実際のファクタリング手数料は20%だった」というようなトラブルが起こる可能性があります。
「書面の契約書」が法的に契約内容を証明する書類となるため、契約書にサインしてしまえば、基本的に契約書に書かれた内容を履行しなくてはなりません。
このため、口頭で聞いていた契約内容と書面に記載された契約内容と相違がないことをしっかり確認した上で、ファクタリングの契約書にサイン、捺印するようにしてください。
貸付の契約になっている可能性もある
また、ファクタリング会社が悪徳業者である場合、売掛債権の売却・譲渡の契約(=ファクタリング)ではなく、知らないうちに「売掛債権を担保に貸付する」というような契約が結ばれている、というようなケースもあります。
このような悪徳業者の場合は、法定外に高い金利や、脅迫的な取り立てが行われる可能性があるので、絶対に騙されないよう、「契約書の内容」をしっかりとチェックするようにしましょう。
ファクタリングの手数料が法外に高い
ファクタリング会社の中には、「資金が不足して困っている利用者・事業者の弱みにつけ込んで、法外に高いファクタリング手数料を設定、利用者に請求する」ような悪徳業者もあります。
通常のファクタリング手数料は1%〜30%
通常のファクタリングの手数料は、1%〜30%ほどとなっていますが、これ以上に手数料がかかるという場合は、悪徳のファクタリング会社であると考えられるでしょう。
また、ファクタリング手数料が一般的な利率であっても、「着手金」や「債権譲渡登記時の司法書士への謝礼金」などの項目で、高額な料金を請求されるケースもあるので注意してください。
一般的な着手金の料金の目安は「無料〜3万円」、司法書士への謝礼金は「5万円ほど」となっています。
正当な理由がなく、手数料がこれ以上にかかる場合は悪徳なファクタリング会社であると考えられるため、別のファクタリング会社を利用することをオススメします。
契約書の発行がなかった
ファクタリング利用時には契約書が発行されず、ファクタリングが履行されずにトラブルになるケースもあります。
契約書の発行なく、ファクタリング手続きが進められた場合、「売掛債権をファクタリング会社へ譲渡したが、売却した売掛債権の入金がない」というようなトラブルが起こり得ます。
また、書面で契約を結んでいなければ、「売掛債権の売却」を法的に主張できなくなるため、「ファクタリングは必ず書面(または電子書面)で契約する」ようにしてください。
悪徳ファクタリング会社を見分ける方法
続いて、悪徳なファクタリング会社を見分ける方法について紹介します。以下のようなファクタリング会社は、「悪徳業者」や「闇金(やみきん)」である可能性があるので、利用しないように注意しましょう。
- 極端に高い・低い手数料でファクタリングを提供している
- 売掛先の経営状態にかかわらず売掛債権を買い取ってくれる
極端に高い・低い手数料でファクタリングを提供している
極端に高い手数料や極端に低い手数料のファクタリング会社は「悪徳のファクタリング会社」である可能性が高いです。
高額な手数料のファクタリング会社は利用すべきではないと判断しやすいのですが、手数料が極端に低いファクタリング会社も注意が必要です。
手数料が低いと思ってファクタリング契約しても、先ほど解説したように、「着手金」などの諸経費に高額な金額が設定されているケースもあるためです。
ファクタリング会社を利用する時には、手数料の他に「諸経費が必要なのかどうか」も、しっかりとチェックしておきましょう。
※ただし、インターネットだけで簡単・安心して申し込み〜審査〜入金が完了できる「クラウドファクタリング」では、審査にかかるコストを圧縮できるため、ファクタリング手数料が2%〜9%ほどに設定されているサービス(=OLTAのクラウドファクタリング)もあります。
売掛先の経営状態にかかわらず売掛債権を買い取ってくれる
また、売掛先企業の経営状態が悪化しているような状況でも、売掛債権を買い取ってくれるようなファクタリング会社には注意してください。
信頼できるファクタリング会社は、売掛先の経営状態が悪化している場合、「売掛債権未回収のリスク」から、売掛債権を買い取る可能性はほぼありません。
売掛債権の買取の条件が良すぎる場合は注意
経営が傾いている企業の売掛債権を買い取るようなファクタリング会社は、利用者の弱みにつけ込んで、詐欺などを企んでいる可能性が高いと考えられるためです。
このような理由から、売掛債権の買取条件が良すぎる、経営が不安定な売掛債権を買い取るようなファクタリング会社にも、十分に注意しておくほうが良いでしょう。
ファクタリング会社に騙されてトラブルが起きた場合は?
ファクタリングの悪徳業者を利用してしまった、ファクタリング会社に騙されてしまいトラブルになってしまった、という場合はどうすれば良いのでしょうか。
ファクタリングのトラブルは弁護士に相談を
悪徳なファクタリング業者を利用したことに気付いた場合は、すぐに法律の専門家である弁護士に相談し、ファクタリングの利用を中止するようにしてください。
悪徳業者に騙された場合はファクタリング契約を解消できる可能性がある
悪徳業者に騙されて「ファクタリング契約をした」、または騙されて「金銭消費貸借契約をした」という場合は、弁護士を通すことで、契約を解消できる可能性があります。
利用者が起こしてしまうファクタリングのトラブル
ここまで、ファクタリング会社側が原因となるトラブルについて解説してきましたが、「ファクタリングの利用者側が原因となるトラブル」もあります。
- 経営状態など虚偽の申請をする
- 同じ売掛債権を複数のファクタリング会社へ売却(二重譲渡)する
- 同じ売掛債権で融資や売却を行う
それぞれの項目について、詳しく解説していきます。
経営状態など虚偽の申請をする
ファクタリング利用者の中には、少しでも売掛債権を高く買い取ってもらおうとして、「売掛先企業が倒産寸前にもかかわらず、経営が安定していると偽る」または、「自社の決算書を操作して売上、経営状態をよく見せる」などの虚偽の申請をする事業者もいます。
虚偽の申請=詐欺罪として訴えられる
虚偽の申請をして契約した場合、詐欺行為となるため、逮捕される可能性があります。また、事業者の逮捕や会社の詐欺行為が噂になれば、他社との取引が打ち切られてしまい、倒産してしまう可能性もあるでしょう。
同じ売掛債権を複数のファクタリング会社へ売却(二重譲渡)する
また、同じ売掛債権を複数のファクタリング会社へ売却してトラブルになるケースもあります。
2社間ファクタリングの中には、売掛債権を譲渡しても「債権譲渡登記」が行われないファクタリングもありますが、同じ売掛債権を複数のファクタリング会社へ売却すれば二重譲渡の事実が必ずバレます。
複数のファクタリング会社へ同一の売掛債権を売却することは「横領罪」や「詐欺行為」となるため、嘘がバレた後は逮捕される可能性があるでしょう。
多額の違約金が発生するケースもある
また、逮捕されない場合でも、ファクタリング会社から契約違反として、多額の違約金を請求されるケースもあるので、売掛債権の二重譲渡は絶対にやめてください。
同じ売掛債権で融資や売却を行う
また、売掛債権をファクタリング会社へ売却し、同じ売掛債権を利用して銀行から売掛債権担保融資を受けることも「横領罪」や「詐欺行為」となり、大きなトラブルに発展してしまうでしょう。
同一の売掛債権を利用して複数の金融機関からファクタリングや融資を受けるのは絶対にやめておきましょう。
ファクタリング利用時には悪徳業者に騙されないように注意する
本記事では、「ファクタリング時に起こりうる3つのトラブル」、「悪徳なファクタリング会社の見分け方」、「ファクタリング会社に騙されてトラブルが起きた後はどうすれば良いのか」、「利用者側が起こしてしまうファクタリングのトラブル」などについて、詳しく解説を進めてきました。
ファクタリングを利用する時には売掛債権の二重譲渡は絶対にしないこと
- 事前に聞いていたファクタリングの内容と異なる条件で契約してトラブルになるケースも
- 法外に高いファクタリング手数料を請求されてトラブルになる場合もある
- ファクタリングの契約書が交わされず、ファクタリングが正しく履行されないトラブルもある
- ファクタリング契約時には必ず書面、または電子書面で契約する
- 極端に高い・低い手数料のファクタリング会社には注意
- ファクタリング手数料が低い場合は「諸経費」が高額に設定されている場合もある
- 経営状態が悪化している会社の売掛債権を買い取るファクタリング会社も注意
- 悪徳ファクタリング会社を利用してしまった場合は弁護士に相談を
- 騙されて契約してしまった場合は「契約を解消」できる可能性がある
- 経営状態をよく見せる等の虚偽申告は絶対にしてはいけない
- 同じ売掛債権を別々のファクタリング会社へ二重譲渡すると捕まる
ファクタリングは、売掛債権の入金を待つ事業者がつなぎ資金の調達に便利に利用できるサービスですが、近年のファクタリング会社の増加、ファクタリング利用者の増加に伴い、トラブルが起きるケースも増えてきています。
悪徳のファクタリング会社に騙されたと思ったら、すぐに弁護士や法律に詳しい専門家に相談し、ファクタリングの手続きをやめる、またはファクタリング契約を解消するようにしてください。
また、利用者側の虚偽申請や売掛債権の二重譲渡などが原因で大きなトラブルになるケースもあるため、ファクタリング利用時には絶対に嘘をつかないようにしてください。
これからファクタリングを利用しようと検討している事業者の方は、ぜひ本記事を参考にしながら悪徳ファクタリング会社に騙されないように注意し、ファクタリングでの資金調達に成功させてみましょう。