エンジェル投資家とは?出資を受ける3つのメリットと3つの注意点を解説
新規事業を立ち上げた方や、会社を経営している事業者の中には、「エンジェル投資家」と呼ばれる個人投資家から出資を受けたいと考える方もいるでしょう。
エンジェル投資家から出資を受けることで得られるメリットは大きいのですが、エンジェル投資家から出資を受けることのリスクもあるので注意しておく必要があります。
本記事では、「エンジェル投資家とは?」、「エンジェル投資家から出資を受けるメリット」、「エンジェル投資家から出資を受ける時の注意点」、「エンジェル投資家から出資を受けられなかった時に利用できる資金調達方法」などについて、詳しく解説していきます。
この記事で分かること
エンジェル投資家とは?
そもそも、「エンジェル投資家」とは、どのような投資家のことを指すのでしょうか。
エンジェル投資家またはエンジェル(ヨーロッパにおいてはビジネスエンジェルと呼ばれている)は、創業間もない企業に対し資金を供給する富裕な個人のことである。
投資の見返りとして株式や転換社債を受け取ることが一般的である。エンジェル同士でグループを形成し、情報の共有や共同出資を行う動きも見られる。
エンジェル投資家とは主にスタートアップ(新規事業)に出資する個人投資家
会社の設立は、20万円〜25万円ほどの費用があれば可能です。しかし、新規事業の立ち上げには、「貸し物件の契約費用」、「オフィス用品やパソコン購入費などの設備投資」、「従業員の給与」など、非常に多くのお金が必要になります。
創業直後の事業は銀行融資を利用できない
また、創業直後で売上の実績がない事業は基本的に「銀行融資」の審査に通過できません。
このため、せっかく事業を立ち上げても開業直後に資金不足に陥ってしまい、資金集めに奔走して肝心の事業に専念できなくなる、という事業者も多いのです。「エンジェル投資家」とは、このような新規事業を立ち上げた事業者・起業家へ出資を行う個人投資家のことです。
なお、『資金不足に悩む創業間もない事業者にとって、エンジェル(天使)のような存在である』という意味から「エンジェル投資家」と呼ばれるようになりました。
エンジェル投資家のほとんどが元起業家
なお、エンジェル投資家の多くが、「かつては起業家として活躍し、事業の売却・譲渡などにより財を築いた」方です。
エンジェル投資家は、ビジネスのことを深く理解している方が多く、新規事業を立ち上げた事業者・起業家にとって頼りになる存在でしょう。
エンジェル投資家の出資額は100万円〜1,000万円ほど
なお、エンジェル投資家からの出資額は、出資するエンジェル投資家、事業内容、事業規模、などにより異なりますが、およそ100万円〜1,000万円ほどになる場合が多いです。
そもそもエンジェル投資家は、なぜ「売上の実績がない立ち上げ直後の事業(=スタートアップ)へ出資」をするのでしょうか。
エンジェル投資家は、開業直後の小さな会社へ出資する代わりに、その会社の株を受け取ります。その後、投資した会社の事業規模が拡大し、企業価値が高まった後で株を売却すると、何十倍、何百倍もの利益を上げられる可能性があります。
このように、出資により大きな利益を上げられる可能性があるため、エンジェル投資家は、将来性のある事業に対して出資を行っているのです。
また一方で、エンジェル投資家の出資は返済義務がないため、出資した会社が倒産してしまった場合、エンジェル投資家は損失を出してしまう、というリスクもあります。
起業家を応援したいという気持ちから出資しているエンジェル投資家も多い
また、エンジェル投資家の中には、自分が起業家であった(または現在も起業家である)という経験から、「スタートアップの若手起業家を応援したい」という純粋な気持ちで出資している方も多いです。
エンジェル投資家から出資を受けるメリット
続いて、エンジェル投資家から出資を受けることのメリットについて、まとめました。
- 事業の売上の実績がなくても資金調達できる
- 経営に関するアドバイスを受けられる
- 事業に失敗しても返済義務がない
事業の売上の実績がなくても資金調達できる
創業して間もない事業は、売上の実績がないため、資金調達するのが非常に困難です。
創業当初にエンジェル投資家からの出資を受けられれば、立ち上げた事業の運転資金を確保できるでしょう。
赤字経営でもエンジェル投資家からの出資の可能性も
また、事業が赤字経営でも、エンジェル投資家から「事業拡大の見込みがある」と判断されれば経営状態にかかわらず、出資を受けられる可能性があります。
経営に関するアドバイスを受けられる
先ほども解説したように、ほとんどのエンジェル投資家がビジネスで成功した「元起業家」です。
このため、エンジェル投資家から出資を受けることになれば、投資家から「経営に関する有益なアドバイス」を受けられる可能性も考えられます。
また、エンジェル投資家は、広いネットワークを持っている方も多く、エンジェル投資家からの紹介などにより、人脈が広がる可能性もあるでしょう。
事業に失敗しても返済義務がない
また、エンジェル投資家からの出資は「融資」ではないため、事業が失敗しても返済義務がありません。
ただし、事業が失敗して会社が倒産してしまった後、新たに事業を立ち上げる時に再びエンジェル投資家からの出資を募ったとしても、「過去の失敗事例」から、出資を受けられなくなる可能性が高いでしょう。
エンジェル投資家や個人投資家から出資を受ける時の注意点
エンジェル投資家からの出資は、「創業時に資金調達できる」、「ビジネスのアドバイスを受けられる」、「事業が失敗しても返済義務がない」という大きなメリットがありましたが、利用時の注意点もあるので注意してください。
- エンジェル投資家から出資を受けにくい
- 一人の出資額が少なく何人ものエンジェル投資家からの出資が必要
- 経営方針に口出しされる恐れもある
エンジェル投資家から出資を受けにくい
エンジェル投資家は、いつも多くの起業家から出資の相談を受けていて、なかなかコンタクトを取りにくい=出資を受けにくいという点に注意しておきましょう。
一人の出資額が少なく何人ものエンジェル投資家からの出資が必要
エンジェル投資家からの出資は100万円〜1,000万円である場合が多く、エンジェル投資家一人からだけの出資では、資金が足りないというケースも多いでしょう。
このため、エンジェル投資家からの出資だけで資金調達を考えている事業者の方は、複数人のエンジェル投資家から出資を受ける必要がある点に注意しておきましょう。
経営方針に口出しされる恐れもある
事業の運営方針に口出ししないエンジェル投資家も多いのですが、中には運営方針に強く口出しするエンジェル投資家も存在します。
エンジェル投資家から出資を受けている事業者は、エンジェル投資家からの口出しを断れず、「思うような経営ができなくなる」ケースもあります。
エンジェル投資家から出資を受けられない場合は?
エンジェル投資家が見つからない…、出資を受けたいエンジェル投資家がいない…という事業者は、以下のような資金調達方法もあります。
- 日本政策金融公庫からの借入
- クラウドファンディングでの資金調達
日本政策金融公庫からの借入
事業の創業直後の運転資金を調達したい方は、「日本政策金融公庫」からの借入も検討してみましょう。
日本政策金融公庫から様々な種類の融資が用意されていますが、新規事業の運転資金として利用できるのは「新創業融資制度」という制度です。
新創業融資制度は保証人不要・無担保で利用できる
また、この新創業融資制度を利用するには、「雇用の創出を伴う事業を始める方」や「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」などの条件を満たす必要があるのですが、保証人不要・無担保、低金利(0.05%〜2.85%)で借入できるというメリットがあります。
融資まで日数がかかる点に注意
ただし、日本政策金融公庫の新創業融資制度を利用する時には審査があり、申し込みから融資までには1ヶ月〜1ヶ月半ほどの日数がかかる点に注意してください。
クラウドファンディングでの資金調達
また、「クラウドファンディング」を活用して創業前後の資金調達をする方法もあります。
クラウドファンディング(英語: Crowdfunding)とは、不特定多数の人が通常インターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うことを指す、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語である。
クラウドファンディングとは、エンジェル投資家のように特定の投資家から出資を募る方法ではなく、インターネットを通じて不特定多数の人から出資を募る資金調達方法です。
事業者のアイデアが多くの方から認められた場合、一瞬にして数千万円以上のお金を集められる可能性もあります。
クラウドファンディングは途中でやめられない
なお、クラウドファンディングで資金調達した後は、原則事業をやめられません。途中で事業をやめた場合、信用を失うだけではなく、高額な手数料が発生してしまう点にも注意が必要です。
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創業時の資金不足に困っている事業者・起業家はエンジェル投資家からの資金調達に成功させよう
本記事では、「エンジェル投資家とは?」、「エンジェル投資家から出資を受けるメリット」、「エンジェル投資家から出資を受ける時の注意点」、「エンジェル投資家から出資を受けられなかった時に利用できる資金調達方法」などについて詳しく解説を進めてきました。
エンジェル投資家から出資を受けられない時には日本政策金融公庫やクラウドファンディングを利用する
- エンジェル投資家とはスタートアップ(新規事業)に出資する個人投資家
- 創業直後の事業は売上の実績がないため「銀行融資」を利用できない
- エンジェル投資家は創業間もない事業に出資してくれるエンジェル(天使)のような存在
- エンジェル投資家のほとんどが元起業家
- 売上の実績が無い事業でもエンジェル投資家から出資を受けられる可能性がある
- 赤字経営でも「事業に見込みがあれば」エンジェル投資家から出資を受けられる
- エンジェル投資家とコンタクトを取りにくい点に注意
- エンジェル投資家から出資を受けられない時は「日本政策金融公庫」などの利用も検討する
エンジェル投資家とは、主にスタートアップ(新規事業)に出資する個人投資家のことです。
創業間もない事業は売上の実績がないため銀行融資などの借入を利用できませんが、エンジェル投資家から資金調達できる可能性があります。また、エンジェル投資家のほとんどがビジネスで成功した「元起業家」であるため、エンジェル投資家から出資を受けると「事業経営に関するアドバイス」も受けられる可能性が高いでしょう。
ただし、エンジェル投資家から出資を受けた後、「事業の運営方針」に口出しされる場合もあり、事業運営の実権を握られてしまう恐れもある点に注意してください。
なお、エンジェル投資家がなかなか見つからない、出資を受けたいエンジェル投資家がいないという場合は、「日本政策金融公庫」や「クラウドファンディング」による創業資金の調達を検討してみましょう。