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給与ファクタリングは違法ヤミ金?給与買い取りの現状と問題点

更新日:2020年6月26日 1,065 view

給与ファクタリングとは、「利用者が勤め先から受け取る予定の給与を、債権として買い取ってもらう金融サービス」のことです。

給与ファクタリングを使えば、給料日前でも先取りで現金を手にすることができることから、お金の悩みを抱える社会人の間で人気を集めています。

新しいカタチの金融サービスとして注目を集めつつも、実質的な違法ヤミ金なのでは?との指摘も出ている給与ファクタリング。

賛否両論うずまく給与ファクタリングの金融サービスとしての仕組みと、給与ファクタリング業者の営業の実態、問題点などを解説していきます。

給与ファクタリングとは?

給与ファクタリングとは、簡単に言えば「給与の買取サービス」のことです。

給与ファクタリングの大まかな手続きの流れは以下の通りです。

  • 給与ファクタリング業者へファクタリングの申し込み
  • 給与ファクタリング業者の審査
  • 給与から手数料を引いたお金が依頼者へ入金
  • 会社から給与が入金された後、ファクタリング業者へ送金

ファクタリング業者は、利用者の給料日に支払われる予定の給与を、給与債権として買い取り、手数料を差し引いた額を支払います。給与ファクタリングを使うことで、利用者は給料日よりも早くお金を受け取ることができます。

会社から給与が支払われた後、そのまま全額をファクタリング業者へ送金すれば、給与ファクタリングの手続きは完了します。

ファクタリングは本来、中小企業の資金調達方法として知られるサービス

そもそもファクタリングとは、ビジネス用の資金調達方法の一種で、「売掛債権をファクタリング会社へ売却し、売掛金の入金前に資金を調達する金融サービス」のことを指します。

ファクタリングは、主に中小企業のつなぎ資金の確保・資金繰り改善に有効な資金調達の一種として、広く認知されています。

このファクタリングのスキームを個人に転用したものが給与ファクタリングです。法人は請求書等を債権として売買しますが、請求書の代わりに個人が受け取る給与を給与債権として売買の対象とするというのが給与ファクタリングの基本的な考え方です。

給与ファクタリングのメリット

給与ファクタリングの利用には、一般に以下のようなメリットがあると言われています。

  • 給与の支給前にお金を調達できる
  • 給与ファクタリングは返済の必要なし
  • 金融ブラックでも利用できる

給与の支給前にお金を調達できる

給与ファクタリングの最も大きなメリットは、「給与の支給前にお金を調達できる」という点です。

大きな出費が重なってしまって、家賃や食費などの生活費が足りない…という場合、給与ファクタリングをうまく活用すれば、早急な資金調達が可能です。

給与ファクタリングは返済の必要なし

給与ファクタリングは給与の事前買取サービスです。給与ファクタリングで行われていることは、給与債権の売買であり、金銭貸借(借入)ではありません

この 「借金ではない」というロジックに基づいて「給与ファクタリングは返済不要である」ということを、メリットとしてアピールしているファクタリング業者は多数存在します。

実際には、給与ファクタリングは給料日に受け取った給与の全額を支払うことになり、実質的な「給与を担保とした借金」と言えます。給与ファクタリングは貸金であるという認識は、外部からの照会を受けた金融庁も認めていることです。

金融ブラックでも利用できる

給与ファクタリングの審査時には、基本的に申込者の信用情報は参照されません。

「給与債権の売買」に関する審査であることをふまえると、給与ファクタリング業者の審査は「本当に会社で働いているか」「定期的な給与の振り込みがあるか」など、売買の対象である「給与の存在」の確認がメインとなるはずです。信用情報を通じて把握できるのは過去の借金の返済遅延・滞納などの記録であり、給与の存在確認とは、確かに少し意味合いが異なります。

こうした特徴を前提に「金融ブラックでも給与ファクタリングは利用できる」と多くの給与ファクタリング業者がアピールしており、実際、支払いに苦しむ多重債務者の方が給与ファクタリングを利用しての被害は後を絶ちません。
※金融ブラック=信用情報に異動情報がある状態

給与ファクタリングのどこが問題なのか?

特徴だけ見ると、非常に便利そうな給与ファクタリング。会社に給与の前払いをお願いするより、ずっと気軽に利用できそうなサービスですが、お金に困っている人をターゲットにしたその営業実態には、いくつもの問題点が挙げられています。

ファクタリング手数料の高さ

給与ファクタリングは、手数料が高く、給与の20%〜40%の金額に設定されている場合がほとんどです。

例えば、給与手取り20万円の人が手数料40%の給与ファクタリングを利用した場合、利用者は手数料を差し引いた金額を給料日前に受け取ることになりますが、

 20万円 – 手数料 8万円(20万円×40%)=12万円

本来、給与として20万円を受け取れるはずのところ、給与ファクタリングを利用して受け取れるのはたった12万円。

ひと月足らずの間で8万円もの手数料を、ファクタリング業者に奪われる計算となります。

給与ファクタリングの手数料はカードローン利息の26倍を超えることも

カードローンキャッシングの場合、上限金利は年利18%が一般的とされています。仮にこの利率で20万円をキャッシング、1ヶ月で返済した場合の利息は、約3,000円程度。ファクタリング業者による手数料80,000円は、このキャッシングの利息と比較すると実に26倍以上の金額です。

給与ファクタリングの手数料が突出していることは、数字の比較でもはっきりと見て取れます。

「借金ではない」ことによる利用ハードルの低さ

「給与ファクタリングは借金ではない」というファクタリング業者のPRが、利用者の警戒のハードルを下げている点も、問題視されていることのひとつです。

悪質業者は、給与ファクタリングを実質的な借金にもかかわらず「給与の前払いサービス」のような感覚で、お金に困った方の気軽な利用をアピールすることで、利用者を集めています。

金融ブラック、つまり多重債務者OKをうたって利用者を集める手法は、いわゆるヤミ金・ソフト闇金といった悪質業者の手口とほぼ同一です。生活に困窮した方が藁にもすがる思いで給与ファクタリングに申し込んだ結果、かえって借金が増加してしまうという、利用者を負のスパイラルに落とし込む手口に対して、社会から厳しい目線が向けられています。

違法ヤミ金による営業の可能性

給与から手数料を引いた金額で給与を買い取ってもらった後は、会社から支給された給与をファクタリング業者へ支払います。

ファクタリング業者へ支払う手数料が「借入の利息」として見られた場合、給与ファクタリングは「違法な貸金の行為」として判断される恐れがあります。

ファクタリングサービスは金銭の貸し借りではないため、貸金業の許認可は不要です。しかし、給与ファクタリングが貸金業として判断されてしまうと、貸金業の許認可のないファクタリング業者は、貸金業法に抵触、つまり、違法行為として扱われる可能性が高いのです。

許認可のない悪質な業者が運営しているケースが多い

また、ファクタリングサービスの提供には許認可が不要、ファクタリング手数料の上限が定められていない、ということから、悪質な業者が違法な給与ファクタリングサービスを運営しているケースが多いと言われています。

悪質な給与ファクタリング業者を利用すると、天井なしに増える利息の支払いを強制されたり、勤務先や自宅への取り立てなどのトラブルに巻き込まれてしまうケースもあるため、怪しい業者は絶対に使わないようにしてください。

金融庁では給与ファクタリング=違法と判断

給与ファクタリングが貸金業と判断される場合、貸金業の許認可を得ていない給与ファクタリング業者はすべて違法業者ということになります。

実際に、金融庁の公式サイト内では、給与ファクタリングについて、「業者が個人の賃金債権(給与債権)を買い取ることは貸金業に該当し、貸金業登録を受けていない業者が違法な貸付行為を行っている」と明言しています。

参考リンク:給与の買取りをうたった違法なヤミ金融にご注意ください!|金融庁公式サイト

業者と利用者の間での契約内容等、ケースバイケースで違法かどうかの判断が変わる可能性はありますが、金融庁が実際に「違法なヤミ金融」と注意喚起している点からも、給与ファクタリングの利用には十分な注意が必要だと言えるでしょう。

給与ファクタリングをめぐる訴訟が増えてきている

また、近年では、給与ファクタリングの利用者が「給与ファクタリングは違法ではないか」と業者を提訴するケースも増えてきています。

「給与ファクタリングは違法ヤミ金」という認知が徐々に広まりつつあり、2020年5月~6月の間だけでも3件もの給与ファクタリングの訴訟のニュースを見つけられます。報道されていない訴訟もあると推測できるため、実際の訴訟件数はさらに多数と考えられます。 

それでも給与ファクタリングを利用したい場合の注意点

給与ファクタリングは違法の可能性が非常に高いため、安易な利用はおすすめしません。

違法と理解した上で給与ファクタリングを利用したいという方はほとんどいないと思いますが、事情があり給与債権の売買を行いたいという方は、給与ファクタリング業者を選ぶ上で、以下の2つの条件を満たすか、申し込みする前に必ず確認するようにしてください。

  1. 貸金業の許認可を受けているファクタリング業者を選ぶ
  2. 手数料(金利)が利息制限法の上限以下のファクタリング業者を選ぶ

貸金業の許認可を受けているファクタリング業者を選ぶ

金融庁は、給与ファクタリングが「貸金業」に該当すると判断しています。このため、給与ファクタリングを提供している業者が貸金業の許認可を受けているかどうか、事前に調べておきましょう。

登録がある貸金業者は、金融庁の公式サイトで無料で調べられます。

参考リンク:金融庁|登録貸金業者情報検索サービス

手数料(金利)が利息制限法の上限以下のファクタリング業者を選ぶ

給与ファクタリングの手数料が、利息制限法の上限以下になっているサービスを選んでください。

貸金業者に適用される利息制限法の上限金利は、以下の通りです。

  • 借入10万円未満…年率20.0%
  • 借入10万円超100万円未満…年率18.0%
  • 借入100万円超…年率15.0%

例えば、20万円の給与ファクタリングの場合、手数料は、年率18.0%以下、1ヶ月で

20万円×18.0%÷365日×30日=2,958円

給与ファクタリング会社が20万円の給与ファクタリングに対しておよそ3,000円程度の手数料を提示しているようであれば、上限金利を考慮してもほぼ適正な請求と言えるでしょう。

条件を満たしていても、利用には十分な警戒を

これらの2つの条件を満たしている給与ファクタリング業者であれば、貸金業法には抵触しない可能性が高い業者と考えられます。 それでも、注意深く、事前に業者と相談した上で、慎重にサービスの利用を検討することをおすすめします。

カードローンでお金を借りる

信頼できる給与ファクタリング業者が見つからない場合、銀行や消費者金融が提供しているカードローンを利用する手もあります。

消費者金融カードローンであれば申し込み当日の即日融資を期待できます。はじめての利用者は30日の無利息期間があるサービスも多く、利用者が非常に有利に利用できます。

給与ファクタリングを探している方は、少し視野を広げて、カードローンの利用なども検討するようにしましょう。

給与ファクタリングのまとめ

本記事では、給与ファクタリングの仕組みや、現状、注意点などについて、掘り下げて解説してきました。

給与ファクタリングとは、給与の買取サービスのため、給料日前にお金が必要な時に便利に利用できます。しかし、非常に高い手数料や、実質的な貸金業であるにも関わらず、許認可のない業者が多数参入していることもあり、現状の給与ファクタリングは「非常にグレーな金融サービス」と言える状況にあります。

カードローンの利用や、支払いのリスケジュールを債権者と相談するなど、借金問題解決の方法は別であたりつつ、やむなく給与ファクタリングを利用するときには、十分に注意し、本当にサービスが適法かどうかを慎重に判断することをおすすめします。

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