総量規制対象外のカードローンを探す3つのポイント
これまで総量規制対象外と言われていた銀行カードローンですが、最大手の3大メガバンクが2017年10月からカードローンの貸付上限金額を自主的に減らしました。これまで3大メガバンクの貸付上限金額は「年収の3分の1や2分の1まで」としていましたが、2017年4月に日本弁護士連合会が銀行業界に「カードローン過剰融資」を控えるように意見書を出したことをきっかけにメガバンク3行はカードローンの自主規制強化を発表しました。
その結果、総量規制対象外のカードローン・キャッシングは消費者金融会社の総量規制の例外や特例を使った方法を使うしかないというのが現状です。
この記事で分かること
銀行カードローンも実質総量規制導入で対象外のカードローンは希少価値
自主的に銀行カードローンが総量規制を導入したことで、総量規制対象外のカードローンは希少価値が高まっています。そこで、総量規制対象外のカードローンを探す3つのポイントを明示し、最後に「最新版・総量規制対象外のカードローンはこれだ」を付けました。
- 銀行カードローンは総量規制対象外ではなくなった
- 総量規制対象外のカードローンとは
- 総量規制対象外のカードローン審査
- 最新版・総量規制対象外のカードローンはこれだ
これらについて以下で1つ1つ解説していきます。
銀行カードローンは総量規制対象外ではなくなった
そもそもカードローンの総量規制とは?
銀行 | 銀行法・金融商品取引法 |
---|---|
信用金庫 | 信用金庫法 |
貸金業者 | 貸金業法(総量規制) |
信販・クレジット会社 | 割賦販売法 |
カードローン業者を規制する法律は上記の通りですがカードローンの総量規制は貸金業法に於いて貸金業者を規制する法律で、2010年の貸金業法の更新時に「申込者の年収の3分の1以上の金額を貸付してはいけない」「1社で50万円以上または他社借り入れと併せた借入額が100万円以上である場合に収入証明が必要」と設定しました。
つまり、貸金業法で規制される消費者金融会社などのカードローンは申込者の年収の3分の1以上の金額の融資ができなくなりましたが、一方で貸金業法の対象外の銀行カードローンは申込者の年収の3分の1以上の金額でも融資できるという不公平な状態となりました。
監督官庁の金融庁は後に猛烈な批判を受けることになりましたが、当時の見解によると銀行カードローンは健全に運営される筈だから規制する必要は無いというものでした。
銀行カードローンも総量規制を自主的に導入
その結果、総量規制の対象外の銀行カードローンは融資残高を伸ばし続け、2017年5月に日本経済新聞が「銀行+信用金庫カードローンの残高が1999年以来の高水準となった」と報じ、銀行カードローンの融資残高は1年で9%増加しその総額は5兆6,024億円に上っています。一方で、総量規制で規制された消費者金融会社など貸金業者のカードローン融資残高は伸び悩み、2016年3月の時点で銀行カードローンの貸付残高は消費者金融会社とクレジットカード会社の合計を上回りました。
その後、銀行カードローンの貸付残高がさらに勢いを増していることから両者の差はさらに広がった訳です。ところが、好事魔多しで銀行カードローンの現場で過剰融資と疑われる様な事例が多く見られ始めました。また、2016年に個人の自己破産申請件数が13年ぶりに増加したことをきっかけに銀行カードローンに対する批判が強まり、銀行カードローンに対する風向きは完全にアゲンストとなりました。
特に、自己破産手続などの債務整理手続に携わる弁護士たちは拡大し続ける銀行カードローンに危機感を感じ、2016年に日本弁護士連合会が「銀行のカードローンに関するアンケート調査」を実施する流れとなりました。その結果、銀行のカードローンの営業現場で審査に問題のあるケースが多数見つかり、2017年4月に日本弁護士連合会は銀行業界に「カードローン過剰融資」を控えるように意見書を出した訳です。
この日本弁護士連合会の意見書を受けて全国銀行協会は「過剰な宣伝や勧誘を行わない」「カードローン審査をしっかり行い貸出後もチェックを怠らない」の2点を各銀行に通知しました。つまり、銀行の表向きの自主規制は上記の2つのポイントだけでしたが、各銀行に於いては具体的な自主規制が始められています。以下で現在行われている自主規制の具体策をまとめました。
銀行カードローン自主規制具体策
自主規制項目 | 具体策 |
---|---|
過剰な宣伝や勧誘を行わない | ① 公式サイトやテレビCMで「総量規制対象外」「即日融資」などの表現削除 ② 「ご利用は計画的に借り過ぎにご注意」といった文言を広告などに含める ③ テレビCMの時間帯変更 |
カードローン審査をしっかり行い貸出後もチェックを怠らない | ① 年収証明書必要条件を200~300万円から50万円に引き下げ ② 融資上限を年収の3分の1以下に ③ 警察庁データベースへの情報照会義務付け ④ 信用保証会社との情報共有を強化 ⑤ 保証会社の審査に頼らない独自の審査の実施 |
総量規制対象外のカードローンとは
カードローン総量規制の除外となる貸付
もともと、貸金業法の総量規制を導入する時に総量規制により困る人を少なくするために、総量規制の「除外貸付」と「例外貸付」という逃げ道が定められています。総量規制の「除外貸付」は総量規制に関わることなく返済能力が認められれば年収制限以上の貸付を認める規定です。
また、総量規制の「例外貸付」とは緊急時や借りている人が一方的に有利になる場合に返済能力が認められれば年収の3分の1以上の貸付を認める規定です。これまで総量規制の「除外貸付」と「例外貸付」は特別なレアケースと考えられてきましたが、実質的に銀行カードローンも総量規制と同等の規制を受けることになりにわかに「除外貸付」と「例外貸付」が見直されつつあります。
総量規制の除外となる貸付(借入)
- 不動産購入または不動産の改良のための貸付(住宅ローン・リフォーム等)
- 車購入時の自動車担保貸付(自動車ローン・マイカーローン)
- 高額療養費の貸付
- 有価証券担保の借入れ・不動産担保の借入れ
- 金融取引業者からの500万円を超える借入れ
- 売却予定不動産の売却代金により返済できる借入れ
- 貸金業者を債権者とする金銭貸借契約の媒介
- 手形(融通手形を除く)の割引
カードローン総量規制の例外となる貸付
総量規制の例外となる貸付(借入)
- 顧客に一方的に有利となる借換え(おまとめローンや借換えローン)
- 緊急の医療費の借入れ
- 社会通念上緊急に必要と認められる費用を支払うための資金の貸付け
- 配偶者と併せた年収の3分の1以下の貸付け(配偶者貸付け)
- 個人事業主に対する貸付け
- 預金取扱金融機関からの貸付けを受けるまでの「つなぎ資金」に係る貸付け
結局、総量規制対象外のカードローンはあるのか?
ここまで述べてきました様に実質的に銀行カードローンが総量規制対象外から自主的対象となったことにより、総量規制対象外のカードローンは少なくなっています。まず、銀行カードローンに於いては返済専用のおまとめローン専用商品しか考えられないのが現状です。只、現実的にこの様な商品性を備える銀行カードローンは殆ど見当たりません。
次に考えられるのは大手消費者金融会社の「おまとめローン」で、総量規制の例外となる貸付(借入)の範ちゅうで顧客に一方的に有利となる借換えとして「おまとめローン」や「借換えローン」が考えられます。貸金業法に基づく「おまとめローン」の特徴としては、以前よりも毎月の返済額が減額されることと金利も確実に低くなること、加えて返済が月に1度になることが考えられます。
そして、敢えてもう1つの可能性を考えるとすれば信用金庫のカードローンで、信用金庫のカードローンについては以下で説明します。
総量規制対象外のカードローン審査
通常のカードローン審査の基準
総量規制対象外のカードローン審査の前に通常のカードローン審査のポイントを確認しておきます。通常のカードローン審査のポイントは以下の通りですが、併せて運用のポイントも理解する必要があります。
年齢 | 20歳以上に加えて65歳~75歳を上限年齢にしている |
---|---|
住所 | 持家→社宅・官舎→賃貸マンション→公団住宅→賃貸アパートという順にポイントが下がる |
勤務先 | 勤務先の規模・役職(正社員・契約社員の別)・勤続年数に加えてもしもの時の連絡先の確保という意味がある |
収入 | 安定収入なのかどうか・収入証明書 |
返済履歴 | クレジットカードの返済履歴や他金融機関の融資審査全てを個人信用情報機関経由でチェック |
総量規制対象外のカードローン審査の基準
通常のカードローン審査に於いては5つ目の返済履歴の確認で他社借入も重要なポイントとして審査されます。勿論、通常のカードローン審査に於いては他社借入が多いほどマイナスポイントとなりますが、「おまとめローン」などの総量規制対象外のカードローン審査では、そもそも「おまとめローン」は他社借入が前提となっているためその件数・金額はマイナスポイントにはなりません。
また、「おまとめローン」は複数の借り入れがある場合に返済額を一本化し、低い金利を適用させて返済を楽にするためのローンです。従って、「おまとめローン」の審査では将来の継続的な返済能力が重視され、長く勤務を続けて年収や役職が上がっていく可能性があれば審査にパスできます。只、全体的に通常のカードローン審査に比べて「おまとめローン」の審査は非常に厳しいことは間違いありません。
最新版・総量規制対象外のカードローンはこれだ
総量規制対象外カードローンの狙い目
ここまで述べてきました様に、現在、総量規制対象外のカードローンは非常に少ないのが現実です。これまで総量規制対象外のカードローンの代表格だった銀行カードローンが、実質的に自主規制により総量規制を守るカードローンとなっているからです。銀行は自主規制によって総量規制を守る姿勢を見せることで、法的に総量規制を課されることを避けようとしています。
従って、総量規制対象外カードローンの狙い目としては消費者金融会社カードローンの総量規制の除外となる貸付と例外となる貸付を狙う他は無いのが現状です。そして、敢えてもう1つの可能性を考えるとすれば信用金庫のカードローンということになります。
信用金庫のカードローン
もともと、信用金庫のカードローンは信用金庫法に基づく貸付が行われていますので貸金業法・総量規制の影響を受けませんでした。これまで銀行カードローンに歩調を合わせる形で信用金庫カードローンも総量規制対象外のカードローンとして営業してきました。ところが、銀行カードローンが自主的に総量規制の枠内で営業することになって以降、信用金庫は業界として明確な姿勢を打ち出していません。
従って、現状は個別信用金庫の判断で運用されていると考えられますので、実質的に総量規制の対象外の融資ができる信用金庫がありそうです。只、信用金庫は地域の発展や地域住民への貢献を経営理念としているところが多く、地元の利用者については審査を柔軟に対応しており最初から限度額が高めに設定されている場合もあり得ます。
つまり、信用金庫の事業区域内に住所がある人や事業区域内に会社がある人でなければ信用金庫の会員とはなれません。また、信用金庫のカードローンを利用するには出資をして会員になる必要があります。出資金の額については1口500円で個人の場合は5,000円(10口)を最低口数としている信用金庫が多くなっています。従って、これらをクリアできれば総量規制対象外のカードローンとして使える可能性が考えられます。